障害者自立支援法・・施設での実態・こりゃとんでもない
 字が細かいけど是非読んでください。

 この記事が皆さんの所に届く頃には、既に応益負担(利用者負担)が実施されている事と思いますが3月21日時点での状況を書き記しておきたいと思います。 

 去る3月13日に社会福祉法人麦の理事会・評議員会が開催されました。そこで話題となったことは、3月1日に公表された4月からの報酬体系及び10月からの新体系の報酬でした。国からの情報公開の遅れや、関係公的機関の混乱により、新年度事業方針や予算が立てにくい状況の中、とんでもない事実が報告されています。

 4月から施設関係の報酬は、これまでの月単位の報酬体系から日割り計算・加算方式となり、施設の開設日や利用者の出席率により大きな変化(収入減)がもたらされます。国が示した平均開設日数は通所系で月22日、出席率は94.5%ですが、この平均値にこそ大きな問題が潜んでいました。国通りの平均値で試算しても施設収入は、これまでの収入の92.8%にしかなりません。 

 しかし、実際には、

 @ 開設日は土日祝祭日の関係で月22日にはならない。(4月は月〜金で20日しかない。)麦の里の場合で月平均19日が実態でした。

 A 出席率は、重度の方ほど低く、麦の里通所療護で80%、授産で90%でした。 
 この2点を元に4月の収入を計算したところ、収入は76%(出席率90%で試算)まで落ち込むことが判明したのです。しかも、利用者負担と食事負担を100%徴収しての話となります。利用者が毎日出席して、利用者負担をきっちり徴収しないと施設はやっていけない実態がはっきりしたのです。しかも、開設日数を増やせば、職員の労働強化や利用者負担増につながります。どうやっても、負担は重くなる仕組みなのです。 

 では新体系の事業に移行した場合はどうでしょうか。

 通所系施設の新事業体系は、いくつかの移行先があり、単独事業選択型と多機能型が可能となります。その移行先により施設収入・利用者負担は左右されます。また、介護給付である生活介護事業の場合は、身障・重心障害者が基本的な対象者で、利用者の平均障害程度区分により11段階もの報酬単価に区分けされています。ですので、単純にこれといった試算ができないのですが、仮に単独型の就労継続支援(非雇用型)に移行した場合は、施設収入は40,5%まで落ち込むことになります。(先の麦の里の条件で試算、以下同じ)

 麦の里創設以来の理念を継承し、重度障害者を中心として、どんな障害者も受け入れることとした場合には、生活介護中心の多機能型を選択することになります。仮に生活介護T(区分6の者、60%以上利用)と非雇用型、就労移行支援の組み合わせで多機能型に移行した場合でも施設収入は72,8%にしかなりません。しかも、生活介護Tの単価は比較的高いため、重度障害者ほど負担が重くなる仕組みで、同じ施設内で、障害の程度、利用する事業によって約1万5千円もの利用者負担金の差が生じることになります。(実際の移行先は未定です)

 社会福祉法人の場合、所得区分が低所得1及び低所得2の方で、一定の要件を満たした場合、法人が利用者負担金を減免する制度があります。具体的には、通所事業の場合は、月の負担額を7500円にするというものです。本来の利用者負担金との差額(減免額)に対しては、一定の補助金(3年間のみ)がありますが、年度末精算となっています。・ この制度を活用し、どの事業を利用しても、障害の程度に関係なく、利用者の負担金を7500円にとどめることは可能となりますが、二つの問題点があります。

 一つめは、障害者の場合、親や兄弟と同居している方がほとんどで、そもそも所得区分が、低所得区分とはならないのです。

 二つめは、減免額に対する補助金は年度末精算のため、社会福祉法人が一時負担する額は、減免する利用者数によっては膨大な額となります。ちなみに、麦の里利用者の約90%が減免適用とした場合、4月時点での減免額は22万円を越え、年額では約270万円を法人が一時負担することになります。(補助額は約195万円

 利用者負担と施設収入は裏腹な面があります。施設収入を上げるために、開設日数を増やしたり出席を強要すれば、確実に利用者の体力面、金銭面の負担が重くなるのです。こうしたことから、施設と利用者との関係が微妙に狂ってくるということも想定されます。

 「4月からお金を払うのなら施設をやめます。」と言うことが、現実に起こっていると聞きます。幸いなことに麦の里では、そうした事態になっていませんが、確実に利用者負担がある以上、今後は分かりません。

 麦の会と法人麦は、この間、家族の意思統一と自己決定を基本として、利用者の立場に立った個別相談会を持っています。障害者自立支援法のみならず、関係する制度、法律、家族の抱える問題まで幅広い相談内容でした。対応する側は、非常に大変なのですが、利用者の立場に立ちつつ、経営者の考え方、会の立場を伝えることの大切さを実感したところです。

 また、とかく利用者と事業者の話に集約されてしまうのですが、職員の存在も忘れてはなりません。実際の対応は職員であり、職員の権利も守らなければなりません。一つの事業体は、利用者・経営者・職員で構成しているのであり、この三者が一致団結してこそ難関を乗り越えられると思います。

 サポートを頂いているボランティアさんはじめ関係者の方達には、この実態を正確に伝えていきたいと思っています。一緒に考え、ともに時代を築き、支え合っていきましょう。( 完 )             (文責 渡辺 覚)
年賀状に替えて    渡辺 照予
昨年末は大変に忙しく、毎年仲間たちと書いてきた年賀状を書けませんでした。「今年はどんな絵にしよう?」と仲間たちが言い出してくれるくらい定着していた年末の「行事」を休んでしまい本当に残念でした。この場をお借りして、毎年、麦の里の仲間たちから届く年賀状を楽しみにしていて下さった方たちにお詫び申し上げます。
 さて、本年のご挨拶を一言だけ申し上げたいと思います。今年は、障害者自立支援法施行の年です。障害者諸団体があんなに反対したにも関わらず、4月からは障害者の1割自己負担が導入されます。10月からは、施設の体系が大きく変わります。障害者の実態に合わせた体系の変更ならばよいのですが、要するに予算を削りたいがために、お金のかからない体系に変更するのだという役所の事情だけが前面に押し出されている気がしてなりません。
 麦の里では、このような年だからこそ、仲間の生活の実態、課題に即した活動をあらためて目指そうと思っています。家族の方との面談も始めています。困難な年だからこそ、よりいっそう、仲間たちと寄り添う麦の里にしていきたいと思っています。
 親御さんたちの強い希望である「ショートステイ」も、ようやく実現に向けて動き出しました。
2006年も頑張ります。応援!よろしくお願いします!!